河野十全の真理生活研究所・人間社

真理生活は自然生活

大自然に生かされ生きている1人1人の人間が、肉体のもつ働きを十分発揮するように、 自然生活を実践していけば、誰もが成長し、発展の道を歩むことができるのです。
「自然生活」のことを、当研究所では「真理生活」ともいいます。
この自然生活には「睡眠」「呼吸」「食事」「働き」「性」という5つの柱があります。
これを自然の法則に合わせてゆく生活です。
身近な日常生活の中に大事なことがあります。

生かされて生きる

人間は、この5つの力で、生かされて、生きています。
ところが、日々を生きることで精一杯で、生かされていることを忘れてしまっています。

その第1は、眠りで、毎夜、宇宙ドックに入って、疲れを取ってもらい、明日の力をつくってもらっています。 それゆえ、昼夜のリズムに合わせることが大事になります。
また、生まれた時から空気があり、呼吸ができるようになっています。
空気と呼吸によっても生かされています。

そして、食べ物は、天地の恵みで食べることができ、そのために歯が用意され、唾液も分泌されるようになっています。 必要なものは、皆この体に、はじめから用意されています。

また、肉体が働くことにより、食べ物をはじめ、生活に必要なものを得ることができます。
その中で仕事や芸術、文学などいろいろなことを表現し、人間は成長してゆきます。
性についても、生殖により子孫を残し、さらには、生殖器から、人間の根本となる生命・気のエネルギーを吸収しています。

生かされているという働きが、この体に100%働いていれば、思ったり考えたりすることもなく、 自然の調和の中で、一番よいようになってゆくのです。
いのちの働きの中で、成長発展の道を歩んでいくことができるのです。
生かされていることが、本当に分かれば、道を誤ることはありません。

「精神」と「心」の違い

「生かされて生きる」ということと、もう1つ知っていただきたいことは、「精神と心の違い」ということです。

「精神」というのは、この生かされているというところから生じる意識です。
それは肉体に備わっている自然なものです。
一方、人間だけが持っている人間意識があり、それを「心」といっています。
これは、親や社会から習い覚えたもので、自己中心的になりがちです。
「心」を主体として生きてゆくと、「精神」とは違い、公平性に欠け、全体を見渡すことができずに、 自分の利益だけしか見えなくなります。自然性がなく、かたよりがちになるのです。

「精神」が中心となり、「心」がそれに従っていればよいのですが、「心」が中心となりますと、「精神」は働けなくなります。
自分の都合のよいように、自分が利益するようにしか、考えなくなります。
そうすると、自己中心的な人間となります。
それゆえに、争いが絶えないのです。
「生かされて生きる」「精神と心の違い」を踏まえて、5つの柱について説明します。

自然生活の5つの柱

日常生活は、皆つながっています。
人間は生かされているがゆえに、自然ともつながっています。
そうしたつながりの中で、自然に生きるには、「心」で生きるのではなく、「精神」で生かされて生きてゆくようにします。

睡眠の力

1日の出発点は、夜の眠りからです。
現代人は、午後11時、0時頃に寝るのが、当たり前のようになっています。
仕事を終え、また学校から帰り、家でのんびりテレビを見たりして、くつろいでいます。
それが夜ふかしとなります。
昼間の疲れが、夜とれてしまったような気になりますが、それは錯覚で、疲れはそのまま残っています。 夜遅くまでテレビを見たり、仕事をしていては、自然の法則違反です。
自然の働きは、早く寝るということだけで、体の今日の疲れを取り、明日の元気を回復しているのです。
その睡眠は、大変な働きをしているのですが、その自覚がありません。
夜ふかしをしていては、生かされている力を、生かすことができません。
何よりも、体を大事にすることです。

呼吸の力

現代人の呼吸は浅く、胸だけの呼吸になって、深く大きな呼吸ができなくなっています。
忙しく、時間に追いかけられているような社会だからです。その上、 仕事や人間関係などのストレスで、ますます呼吸が浅くなります。
「心」を主として生きている現代人は、何でも頭で考えることが良いように思っています。
しかし、思い考えなくても、「精神」のままにあれば、気を使わずに、疲れることもなく、 間違いもなく、一番良い結果になります。
そうすれば、呼吸も自然になります。
呼吸と気持ちは関係が深く、落ち着いて呼吸ができれば、気持ちも落ち着いてきます。
意識的に深い大きな腹式呼吸をすれば、落ち着きを取り戻すこともできます。
さらには、腹式呼吸がもっと徹底されれば、細胞呼吸、全身呼吸ともいえるような、 真呼吸しんこきゅうとなります。

食事の力

食事は何を食べてもよいのですが、なるべく自然で旬のものをとるようにします。
そして、よく噛んで、腹八分にして、食べ過ぎないことが大事です。
「心」の意識が旺盛になりますと、目がほしくなり、つい食べ過ぎてしまいます。
年をとれば、固形物を少なくし、水と空気をたくさんとる方がよいのです。
年とともに唾液が薄く、少なくなりますので、一層よく噛むことで、唾液を出すようにします。
近年、よく噛むことで、脳が活性化し、学業や老化防止等に効果的だと、科学的にも証明されるようになりました。
また、よく噛めば「気化きか」します。
これは、食べ物が消化吸収されるだけでなく、よく噛むことで、そのままいのちのエネルギーになるということです。
このことは、目に見えず意識することはできませんが、そういういのちの働きが、淡々と行われているのです。

働きの力

現代人は、できるだけ体を疲れさせないようにしています。
楽をして、娯楽の時間を充実させたいと思っているからです。
しかし、疲れるほど働かなければ、体に力が蓄えられません。
明日への力には、なっていかないのです。
例えば、山を登るのに、車で山頂まで行ってしまうと、途中の時間は、ただ通り過ぎるだけの時間になってしまいます。 しかし、汗をかきながら一歩一歩歩いて登った時、山頂で爽快感を味わうことができますし、草花や鳥のさえずりとゆっくり向き合うこともできます。

体を使う、こうした体験することが、力になるのです。
植物は、自然な環境であれば、まいた種は必ず芽生え、育ち、実ります。
人間も、「心」で働くのではなく、生かされているままの肉体で働くことで、成長してゆきます。それが人間の価値となります。
そのためにも、心を使わずに、肉体で働くことです。

性の力

現代は、人を悪くするような情報があふれています。
特に、性をもてあそぶものは、気をつけなければなりません。
子どものうちから、こうした刺激を受けると、意識的な感情を高めてしまいます。
そうして、大人の真似をすれば、苗のうちに花をつけるようなことになります。
生殖器の働きというのは、生殖だけでなく、人間性の根本を養うところです。
神聖なところですので、性の享楽の道具にしてはいけないのです。
このことを、しっかりと認識しておく必要があります。
自然の目に見えない「いのちのエネルギー」を「気」といいますが、これは、生殖器から吸収しているのです。
このエネルギーと、食物からのエネルギーが、いのちを支えてくれています。
生かされているという力は、意識することなく働いています。
24時間、血液は体中をめぐり、呼吸も止めることはないのです。

このようにして、生活が自然になれば、しっかりした土台ができあがり、その上で安心して生きてゆくことができます。
それは、楽に、楽しく生きる方法でもあります。
最近、企業でも、仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」の取り組みがされて、 長時間労働の改善の見直しが進められています。
子どもたちに対しても、「早寝早起き朝ごはん!」と叫ばれるようになりました。
このようにして健康化が広まれば、子どもも大人も、個人も企業も、それぞれの利益を生むことになります。 そのカギが、自然生活なのです。
日常生活の中で、手軽に実践できる自然生活法の1つに「寝禅」というものがあります。
子どもからお年寄りまで、誰もが始められますので、お試しください。

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