河野十全の真理生活研究所・人間社

寝禅(ねぜん)

寝禅ねぜん」は、河野十全こうのじゅうぜん(1897年~1998年)が創始した生活法です。
昭和36年(1961年)、「坐禅より寝禅―寝ながらできる人間改造法―」という小冊子にまとめました。
文字通り、寝ながらする「禅」です。早朝に、目覚めた寝床の中で行うものです。
それは、自然と一体になるための1つの方法です。

寝禅のプロセス

「寝禅」には、次の3つのプロセスがあります。

  1. 睡眠(原則、午後8時就寝、午前4時起床の8時間睡眠です)
  2. 真呼吸しんこきゅう(大きく深い呼吸です。細胞呼吸、全身呼吸ともいいます)
  3. 自然運動(目覚めの寝床の上に仰向けになり、自由自在に気持ちのよいように体を動かします)

「睡眠」が土台になり、「真呼吸」と「自然運動」を合わせて1時間位行います。
時間がない場合は、30分でもかまいません。

夜は早く寝る

寝禅は、夜早く寝ることから始めます。
原則、午後8時です。
おそくとも10時までには寝るようにします。
それまでに、入浴で汗を流し、よく温め、軽い夕食をすませます。
本来は、昼間の疲れから、眠くなる潮時が1度だけ訪れますから、それに乗じて眠るのが一番よいのです。
それが午後7時とか、午後8時頃になります。

朝の目覚め

午前4時頃、目が覚めてもすぐには起き出さずに、寝床の中で身心の両方がはっきりするまで過ごします。
目覚めてから5分から10分間は半意識はんいしきという、目に見えない世界と、目に見える世界とに通ずる状態です。
この時に、いろいろなことが、ひらめくことがあります。
問題の解決法やヒントが得られるのです。

そうして、カーテンや窓を開け、朝の陽光と新鮮な空気の中で、大きく深い呼吸を始めます。

真呼吸しんこきゅう

寝床の中で、体を仰向けにして、足を伸ばし、手のひらは上向きで、目をつむり、リラックスします。
体のどこにも力が入っていない状態で、吐く息から呼吸法を始めます。
鼻から吐きますが、口を使ってもかまいません。
10秒位から始め、20秒位、吐けるようにします。

無理せず、しだいに長く吐けるようにします。
お腹をへこませながら、息を吐いて、吐ききります。 息を吐くことが中心です。
吐ききれば、自然に息が入ってきます。
吸う時は、お腹を膨らませるようにします。 吸う時は、必ず鼻でします。
吐く・吸うは、2:1位の割合でします。
そうしているうちに、細胞の1つ1つに、酸素が行き渡るような、大きな全身呼吸ともなってゆきます。
これが「真呼吸」で、40~50分間行います。

自然運動

呼吸法をしているうちに、伸び、あくび、おならが出てきます。
疲れや体内の不要なガスなので、存分に排出します。
そのうち、自然に体を動かしたくなります。
自由自在に動きたいように、動かします。
はじめのうちは、なかなかこうした動きが出てこないので、意識的に気持ちよくなるように誘導し、動かすようにします。
10~20分位やります。

起床

身心がともに目覚めたら、起きて、ゆっくり噛むように水を飲みます。
朝は、しっかりたっぷりと水分をとります。
生水を飲み慣れていない人は、お茶などを飲みながら、慣らしてゆきます。

昼間の「寝禅」

寝禅は、昼間でも、疲れを感じた時や飽きた時に、その場に体を横たえて、仰向きになり、 体の力を抜いて休みます。
生かされているという気持ちで、お腹を使って吐ききる呼吸をします。
そうすると、伸びをしたり、あくびをしたり、体を動かしたくなりますので、そうした体の動きに任せます。
ほんの5分か10分で、気持ちよくリフレッシュすることができ、その後の能率がよくなります。
横になるスペースがなければ、椅子に腰かけたままでします。
寝禅は、日に何度してもよいのです。
また、眠りの足りない時には、そのまま、眠ってしまってもよいのです。


このように寝禅は、難しい知識も道具も必要ありません。
誰でも始められ、実際にやってみることで、効果は体や精神に現れてきます。
バリバリと仕事ができ、ひらめきやアイデアがわき、面白いように事が運びます。
子どもも学業や、スポーツ、芸術等で能力を発揮することになるでしょう。
また、毎日続けていると、体調の変化に気づくことがあります。
例えば、思うように真呼吸ができず、違和感があったため、病院で調べたところ、脳梗塞の前兆で、事なきを得たという人がいます。
100歳を超えても、寝禅を続けることで、聞こえづらかった聴力が回復したという人もいます。
意識的に気をつけるのではなく、必要なことが、必要な時に、自然と気づくようになるのです。
是非、できるところから始めてください。

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